デイサービスをはじめ、日帰りで利用できる介護施設の多くは「利用者の送迎」を実施しています。介護の現場で働く送迎ドライバーは、このような通所介護施設で、利用者の自宅と施設の間を送迎することが仕事です。
業務で使用する自動車は施設によってさまざまですが、基本的にはワンボックスカーを運転する機会が多いでしょう。朝に利用者の自宅まで迎えに行き、施設で一日過ごした後、夕方にまた自宅まで送り届けます。
また、施設のサービスによっては利用者だけではなく他のケアスタッフを送迎することも。また、ケアスタッフが送迎ドライバーを兼ねているケースも珍しくありません。反対に、施設の清掃業務や設備の簡単なメンテナンスを送迎ドライバーが空き時間に行う場合もあります。
介護施設の送迎ドライバーは利用者の送り迎えが主な業務。ですが、一般施設のドライバーとは必要な心構えが異なります。また、送迎に付随するサポート業務もドライバーの大事な仕事です。
介護施設の送迎ドライバーは、利用者に不安を与えない運転を心がける必要があります。介護施設の車に乗っているのは、高齢者をはじめとする要介護の方です。身体に不自由がある方もいれば、車いすを利用している方もいらっしゃるでしょう。安全運転はもちろん、急ブレーキや急なアクセルを極力避け、乗車している方への負担が少ない運転をするのが大切です。
送迎ドライバーの業務でもうひとつ忘れてはならないことが、利用者やそのご家族とのコミュニケーション。送迎ドライバーは、スタッフのなかで最初に利用者と顔を合わせる存在になりやすい職種です。利用者の日の体調や気分を確認して、注意すべき情報があれば介護スタッフに共有します。介護施設で働く限り、送迎ドライバーも介護職員のひとりなのです。
送迎中も「車内の温度は大丈夫か」「シートベルトは苦しくないか」「利用者の体調に異変はないか」など、細かく気を配り続けます。運転に関する声かけも大切です。カーブに差し掛かったら「曲がります」、停車する際は「停まります」といった具合に、乗車している利用者が不安を感じないように、声かけをしてあげましょう。
利用者の乗り降りのサポートも大事な業務です。施設で利用している自動車は高齢者の乗り降りを想定したタイプがほとんどですが、施設によっては普通車や軽自動車を使っています。ワンボックスカーであっても、高齢者が乗り降りしづらい場合があるかもしれません。送迎ドライバーがサポートしてあげましょう。
介護施設の送迎ドライバーは、自動車を運転する業務に携わります。そのため、当然ながら自動車免許が必要になります。
ただし、タクシーのように乗客をとって自動車を運転する場合に必要な「二種免許」は、介護施設の送迎ドライバーには求められません。送迎ドライバーの業務は「介護施設における業務の一環」とされているからです。必要な資格は「普通自動車一種免許」のみ。AT限定免許しか持っていなくても、介護施設によっては採用してもらえます。
とはいえ、要介護者を乗せて走る「介護施設の送迎ドライバー」は高いドライビングスキルが求められ業務。しっかりと運転技術を身につける必要があります。
介護施設の送迎ドライバーは送迎業務がメイン。そのため送迎時の介護業務は、介護福祉士が同乗して行います。利用者を自宅の中に介助しながら連れて行くためには、介護福祉士の資格が必要です。
しかし施設によっては、これらの業務を送迎ドライバーがひとりで行うよう求められるケースも。送迎ドライバーも介護福祉士・介護職員初任者研修といった資格を取得していると、送迎業務の幅が広げられます。
介護福祉士の資格は、国家試験に合格するか介護の養成施設を修了することで取得できます。送迎ドライバーが取得すれば転職の際にも役立つでしょう。
介護業務に関する初級資格とされている「介護職員初任者研修」の資格。3年間の実務経験を積むと、介護福祉士にステップアップすることも可能です。受験条件もないため、これから介護士になろうと考えている方を中心に取得されています。送迎ドライバーでも、働きながら取得できる、あると便利な資格です。