厚生労働省が試算した2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」という資料によれば、日本全国で2025年には、およそ37万人の人手不足が発生するとされています。
そのために介護人材の増加や需要を減らすための介護予防など、様々な手段を展開しようとしていますが、供給が依然追いついていない状況です。
そこで出てきたのが、ホームヘルパーからもう一段階、専門的な知識が不要な作業をするスタッフを介護職として設けようと出てきたのが「介護助手」「介護補助」です。
今まで有資格者が包括的に行っていた作業の中で、専門知識・資格を必要としないものを一手に請け負う職種を設けることで、全体の負担を減らすことが可能となりました。
介護助手・介護補助の主な仕事は、ホームヘルパーなどの有資格者の占有業務以外。例として、食事や買い物、掃除洗濯に送迎、事務全般などが挙げられます。
ホームヘルパーと何が違うのか、という点ですが、ホームヘルパーを含む有資格者は、実際に要介護者に触れることが出来ます。それにより、入浴や排せつの介助、食事が上手くできない方へのサポートなどが可能となります。逆に、無資格である介護助手・介護補助に関してはその作業は関与できません。
今までは主にホームヘルパーが本業の介助を行う一方でフレキシブルに対応してきたケースが多く、その結果として「介護職は凄く重労働だからやらない方が良い」という風潮がありました。
しかし、介護助手や介護補助ができたことで分業でき、従来の介護職が本来業務に専念できる環境が整ってきたため、業界全体に抱かれていた重労働のイメージが軽減されてきています。
無資格だから扱いが低いというわけではなく、介護業界の根底を支えている重要な仕事、と言えるでしょう。
決して無責任であっていいというわけではありませんが、介護者に直接かかわる有資格者に比べると責任の範囲は狭いと言えるでしょう。仕事を探す方のすべてが大きな責任と義務感をモチベーションにしているわけではありませんので、逆に大きなプレッシャーにさらされることなく日々の仕事をきちんと行いたいという方には向いていると言えるでしょう。
介護助手・介護補助のみでの職種としては給与を表すデータはありませんでした。各県の介護の求人によって大きくばらつきますが、仕事内容に沿った実績や資格があるかどうかで上下が出るかもしれません。
介護人材のニーズは当面のところ減少するとは考えにくいです。給与面や休日面での折り合いがつけば比較的就職しやすいと言えるでしょう。
また、補助の仕事をしているうちに興味が出た場合は、介護系の資格を取得することでそこからステップアップしていくというキャリアパスも考えられます。
特定の資格などは必要とされていないので、ハローワークなどの求人から申し込み、採用されれば仕事を始めることが可能です。
ただし、介護施設によって提示している条件は大幅に違うケースが多いので、選ぶ際は複数を比較して決めることをおすすめします。
また、実際に面接する際も前職等で事務の経験などがある場合は役に立つケースも多いので、前職の経験は忘れずアピールを行いましょう。
介護助手・介護補助の仕事は、言ってしまえば有資格者が行う業務以外の全てです。そのため、特定のスキルというよりも仕事を次々とこなす処理能力が求められると考えられます。 また、直接介護者と関わるわけではないにしろ、話す機会がないわけではありませんので、ある程度人と話すシーンには慣れている方が望ましいでしょう。