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団塊の世代が75歳を迎える2022年。「2022年危機」と名付けられたこのタイミングで長寿国日本は少子化とともに問題視されてきた「超高齢化社会」の波に飲み込まれます。ここでは過去の介護保険法改正のポイントとともに2022年までに行われる介護保険法改正をについてご紹介します。
介護保険制度スタートより3年に1回程度のペースで改正を続け、今回の改正で第8期。頻繁に改正や見直しが行われているのにここにきて介護保険制度は「危機」に瀕します。
2022年は団塊の世代が75歳を迎える年。団塊の世代とは戦後の第一次ベビーブームにより生まれた世代で他の世代の人口より突出して多いのが特徴でしょう。この世代が後期高齢者となることと少子化による「支え手不足」により介護保険制度が圧迫さる見込み。そして、介護保険制度自体の維持が難しくなるのではないかという懸念があります。
現在の介護保険サービスを利用する際の自己負担額は、対象者の収入別で1~3割程度に設定。それでも全体の約9割が1割負担となっており、今後要介護者が爆発的に増加することで介護費が支えきれなくなるのではないかという危機が迫っています。
これを回避するためには対象者の自己負担を1割から2割に増やすか、介護納付金を増やすかがまず検討の課題。また、現在40歳以上が支払っている介護納付金の「40歳」という年齢設定を引き下げるなどの対応が考えられます。
「介護職の離職率」が高いことがしばしばニュースなどでも取り上げられています。実際に介護現場ではきつい職務に見合わず給与が低いということが問題となり2017年・2019年に臨時介護報酬改定が行われ「処遇改善加算」が導入されることに。
同じ職場で長く勤続するための仕組みとしては画期的でしたが、それでも今後の2022年問題のタイミングで必要な介護人材の人数には届いていないのが現実です。そして、増え続ける高齢者に減り続ける現役世代。「処遇改善」に加え「介護ロボットやICTの導入促進」や「意欲ある高齢者の介護補助参入」、「外国人スタッフの受入れ」など様々な検討が行われています。
「認知症になっても住み慣れた地域で安心して過ごす」を目指して認知症の理解を深める活動を行う「認知症サポーター・認知症サポート医」を養成し活動を広げてきました。また、「認知症カフェ」で認知症の方やその家族、地域の人々が共に集う場も多く設置されています。
これからの時代はさらに「予防」の要素を強くし認知症になることを防ぎ、認知症になったとしても早期に対応できる体制を構築する動きがみられるでしょう。地域包括ケアシステムの充実を行い、どの地域に住んでいても必要なサービスを必要な時に受けられる体制づくり。そして、広範囲にわたるニーズへの対応ができるよう制度の整備が求められています。
「健康寿命」という言葉がよく聞かれるようになりました。健康寿命とは心身ともに自立し人の助けを受けることなく生活し続けられる年齢ですが、この年齢と平均寿命との差が大きいことが現在の日本の大きな問題点となっています。
介護保険のお世話にならず、生活をされている高齢者の中には「要介護ほどではないがサポートが必要」という方が非常に多くなることも。要介護予備軍が増加し、健康寿命をのばすことの必要性が高まるでしょう。自治体などで理学療法士や健康運動指導士などが実施する介護予防教室などを行い、保険事業と介護予防事業を合わせて推進していく体制が強化されつつあります。
高齢者が住み慣れた地域で必要なときに必要なサービスが受けられるよう「地域包括ケアシステム」の構築がスタート。これにより医療・介護の連携強化や複合型サービスが創設されるなど利用者や利用者家族のニーズがより反映される形となります。
このままでは破綻は確実だとささやかれている介護保険ですが、政府も先々を見通してさまざまな対策を打ち出しています。介護の必要となってしまった方への対応が主だった10数年前に比べて「地域包括ケアシステムの構築」「在宅医療・介護の推進」「認知症・フレイル予防への取り組み」など今までとは方向性は変わってきているでしょう。政府の対応と実際の介護現場の差が少しでも縮まることが介護保険存続への道です。
目前まで迫った2022年危機。介護保険法の改正の流れをみても重度化を防ぐための「予防」にベクトルが向いているのが見てとれるでしょう。重度化した高齢者のケアに一人でも多くの家族や医療・介護スタッフが携われるように、今、現在の心と体の状態をまずは維持すること。そしてひとりひとりが予防に向き合い健康寿命をのばすことが大切です。